Online Yomiuriより引用。 太字は筆者。
東日本大震災後、日本を訪れる外国人観光客らが激減し、ツアーなどのキャンセルが相次いでいる。読売新聞のまとめでは、少なくとも約8万人の外国人が宿泊や訪問を取りやめ、海外からの飛行機運航も中止に。観光地からは「原発事故の風評被害だ」など、悲鳴にも似た声が上がっている。http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110416-OYT1T00912.htm
被災地だけでなく、西日本の観光地などでも外国人観光客のキャンセルが相次ぎ、国内の観光産業は大きな打撃を受けている。海外メディアなどが、原発事故を実態よりも大げさに伝えたのも、一因とみられる。政府が新成長戦略の柱の一つに据えた「観光立国」構想も、大幅な見直しが避けられない情勢だ。http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110407-OYT1T00129.htm?from=nwla
こんなときに観光客が減るのが「風評被害」だという観光地のコメント・・・。最大級の地震、いまだ続いている余震、さらには放射能汚染水を海洋に流し、大気中の放射線レベルをはっきり示さない政府・・・と、こんな国に誰が観光などしようと思うだろうか。絶対に行かなくてはならない、というのでなければ、誰だって今日本になど行きたいとは思わないのは誰もが当然理解できることだろう。政情が安定しなかったり、内戦が起こっていたりする国に誰も行きたいと思わないように、放射能被害にあう危険性のある国、放射能汚染された食品を食べなくてはならない国は避けようとするのが当然ではないか。観光産業は結局のところ現地がどんなに努力してもうまくいかないときはうまくいかない、かなり依存的な産業なのだ。さらには、日本では「風評被害」という言葉ですべて片付けようとしているような傾向が見られるが、このあたり、少なくともジャーナリズムには、もっと深い洞察をお願いしたい。
次。「海外メディアなどが、原発事故を実態よりも大げさに伝えた」というのはどこに根拠があるのか。私に言わせれば、日本メディアが事実を伝えようとする姿勢すら持っておらず、政府やTEPCOの言葉を(ジャーナリズムの基盤であるべき)批判精神もなく鵜呑みにしている状況に、「海外メディア」に責任を着せるというのは、全くもってもってのほかだと思う。
読売新聞に対して「もつと深い洞察を」とお求めの気持ちは分かりますが無理と思います。読売と産経新聞こそ、原発は不可欠で安全だとことある毎に宣伝してきたマスコミの代表ですから。福島事故の後1行でも反省は無くて、政府の対応が遅いなどと他人に対する批判は書いても、自分の過去の総括は全くないのが特徴の新聞社ですから。このように、私は考えています。鋭い視点の書き込み期待しています。
ReplyDeleteコメント、感謝します。これは恐らく読売や産経が問題であるのではなく、日本のジャーナリズム界に蔓延している問題だと思います。意見の相違や多様性を認められず、感情論に流され、論理的な批判ができないジャーナリスト(とは名ばかりの・・・)が多すぎます。カナダでも当然、ジャーナリズムの不備はあるにしても、いわゆるチェック・アンド・バランスが働いています。私たち市民もその機能を果たせるべく(カントのいう)批判をする能力を鍛えていかなくてはならないと今回、つくづく思っています。
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