Sunday, December 25, 2011

フランス政府、アルメニアン・ジェノサイド(アルメニア人虐殺)否定を違法とする法案を決議

12月22日、フランス議会下院は第一次対戦中に起こったオットーマン=トルコ帝国によるアルメニア人虐殺を公的に否定することを犯罪とする法案を可決した。


一方、トルコ政府はこの動きを猛烈に批判し、来年4月に予定されている大統領選挙での票稼ぎを目論んだサーコージー大統領の政治的意図、フランス国内でのトルコ差別やイスラモフォビアをほのめかし外交問題に発展している。


アルメニア人の虐殺(アルメニアン・ジェノサイド)とは、第一次世界大戦中の1915年、トルコ東部でオットーマン=トルコ帝国によるキリスト教徒で民族的マイノリティのアルメニア人約150万人が組織的に殺害された事件(数については一部の専門家の間で議論があるようだが、欧米の大手メディアはこの数字を取っている)。西欧諸国の歴史家や専門家のあいだでは「ジェノサイド」のひとつとされており、アメリカやフランスをはじめとする国々では、国会の議決を通して「ジェノサイド」と位置付けられ、トルコ政府による謝罪と補償を要求している。


トルコ政府のアルメニア人虐殺に対する態度をひとことで表すなら「否定」であり、なかに虐殺の事実を認めたとしても、どちら側も多大な犠牲を払ったわけで、トルコ人だけが責められるのはおかしい、と公言している政治家もいる(犠牲者の数に関しても見解が一致していない)。国民の大半もこの問題が海外(白人の国々、ユダヤ=キリスト教的文化に根ざした国々)で取り上げられるたびに、トルコおよびイスラム文化に対する侮辱、あるいはトルコ差別であると感じる人が多く、この問題がナショナリズムと絡んだかなり感情的な問題であることがうかがい知れる。(こう見てくるとわかるが、アルメニアン・ジェノサイドとトルコ政府の反応は、南京虐殺に対する日本政府および国民の反応と、ある意味で最もパラレルな関係にあると思われる。)


フランスでは、2001年にはアルメニア人虐殺をジェノサイドであると認める法を国会で可決、2011年5月には、アルメニア人虐殺の否定を犯罪とすることが下院で可決されたものの、上院で否決されたという経緯がある。


同様の法律は、ホロコースト否定にもあてはまり、ドイツと同じくフランスでも公的な場でホロコーストを否定すれば、犯罪となる。ちなみに、私の住むカナダでも同様で、ホロコースト否定はヘイトクライム(憎悪罪- ある特定のグループに対する憎悪をあおることに対する罪)にあたる。

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