先進34カ国で行われた所得格差調査の結果がOECDにより発表された。リポートによれば、ほとんどのOECD加盟諸国で経済格差が進んでおり、これは先進諸国に限らず全世界で見られるグローバル・トレンドであるという。
カナダでは、所得最高人口10%(平均年間所得103.500ドル)は所得最低人口10%の10倍もの所得を得ているという。つまり、トップ10%に対するボトム10%の比率は10-1となっている。1990年代初頭では8-1であった比率が、20年で10-1にまで拡大していることになる。
他の国の比率は以下のとおり。
ノルウェー、ドイツ、スウェーデン、デンマーク・・・6-1
イタリア、日本、韓国、カナダ、イギリス… 10-1
トルコ、アメリカ、イスラエル・・・ 14-1
メキシコ・・・ 27-1
ブラジル(Non OECD country)・・・ 50-1
OECDのSecretary GeneralのAngel Gurria(エンジェル・グリア)によれば、「経済成長の利益は自動的に経済的に不利な立場の人たちにも浸透していくという考えは、この調査結果で否定されたことになる」と言う。そして、「一部の人を排除しない形での経済成長の戦略を立てられなければ、このまま格差は広がる一方」であると指摘する。
背後にあるのはグローバライゼーションとインフォメーション・テクノロジー(IT)。この二つの勢力によって、中間スキルを持った人たちが職を失い、製造などの低賃金労働の場が奪われた。そして、ごく一部のトップクラスのスキルを持った人たちが富をほしいままにするという構図が描かれた。
グリアは、“Our report clearly indicates that ‘upskilling’ of the workforce is by far the most powerful instrument to counter rising income inequality. The investment in people must begin in early childhood and be followed through into formal education and work.”
(所得格差に太刀打ちするためには、労働人口のスキル向上という問題が非常に重要になってくる。スキル向上に対する投資は幼少時から始められるべきであり、その後も教育機関や職場で継続してスキル向上をこころがけるべきだ)と言う(彼女のこの主張には私は懐疑的である)。
ニューヨークのウォール街から世界の都市に広まった一連のOccupy Wall streetの動きが格差問題(「我々は99%!」)に触れていたことに思いをいたすと、やはりOccupyの動きは世界が取り組むべきグローバル問題の核心をついていたと思う。
何度も書いてきたが、経済格差問題は社会の不安定化につながる大きな社会問題であると同時に、グローバル規模で取り組まなければならない問題である。低所得者層に対する社会福祉の充実、富裕層に対する増税だけでは問題は解決されない。こうした経済格差によって巨額の利を得てきた現代の資本主義システムの構造そのものにもメスを入れる必要があるのではないか。
参考)Toronto Star紙:
http://www.thestar.com/business/article/1097055--why-the-gap-between-rich-and-poor-in-canada-keeps-growing?bn=1
OECDサイト:
http://www.oecd.org/document/40/0,3746,en_21571361_44315115_49166760_1_1_1_1,00.html
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