“Six Prime ministers in four years.”(4年で6人の首相)
先の6月のG20 トロント・サミットをカバーしたメディアで、日本について最も多かったラインはこれではなかったか。4人で6人もの首相とは確かに珍しく、こうした政治的Stabilityのなさで政治がやっていける国は日本以外には考えられない。The Globe and MailとToronto Starでは、日本に関するカバリッジはほとんど見られなかった。官首相の写真だって、ほとんどなかったし、ある写真では誰かの影にかくれて顔が見えなくなっていた。StarではG20の20日前から出席する各首脳の紹介を全面でやっていたが、官首相は単に今までの首相とはちょっと違う、アクティビスト、Populistの首相であるという紹介で、何の深さも洞察もない単調な記事だった。でどちらの新聞だったか忘れたが、いちばん大きく扱われていたのは(確か紙面半分ほど)官伸子首相夫人のインタビューだった。しかし、この内容もひとことでいうなら「彼女は夫とは違った意見も述べる近代的女性」と要約されるようなもので、カナダのメディアもいつまで「日本女性は従順」というステレオタイプを引きずってるのだろう、と首をかしげたくなるようなもの(そして、国際政治・政治的にはどうでもいいインタビュー)だった。
日本が抱えている巨大な赤字国債や長引く経済不況などの文字も見えたにしろ、はっきり言ってどのメディアも日本という国の国際的重要性をこれっぽっちも感じていないのだ、ということがはっきりと分かった。
私がカナダに来た11年前は、まだ日本関連のニュースや特集記事が目についた。それが、いつの間にか、日本に関する新聞記事といえば、ロボット関係か、キティちゃんなどのキャラクター・グッズか、日本風デザイン、せいぜい小さな政治・経済関連記事という感じになってきた。明らかにカナダ・メディアでは日本がレーダーから消えていっている。
個人的には、これが特に困った傾向であるとは思わないが、一方で気になるのは日本社会全体が「ひきこもり」状態になりつつあるのでは、という懸念。ハーバード大学などの世界の一流大学でも、日本人学生の数がここ10年来、確実に減っているとか、私の住んでいるトロント大学の家族向けアパートにも日本人家庭は数えるほどしかいないとか、世界という舞台で活躍する日本人が以前にもまして減っている。グローバライゼーションの時代、静かに、静かにひきこもる国・日本というのは、いかがなものか。
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