7月13日、フランス国会下院でブルカ風のベールを禁止する議案が通過した。
この法によれば、Public space(公共の場)とみなされる場所すべてでヘッド・スカーフが禁止されることになり、反対していたSocialists(フランス社会党)の政府の建物や病院といった限定された場所での禁止に留まらない大規模な禁止となった。
フランスはヨーロッパ最大のイスラム系人口を抱え、フランス全人口64Mmillionのうち、5millionがイスラム系である。しかし、ヘッド・スカーフをしているのは、そのうちのわずか1900人の女性とされ、この少ないヘッド・スカーフ人口を抑制するというよりは、女性が男性の従属物である象徴であるともみえるヘッド・スカーフが男女平等、政教分離を掲げるFrench value(フランスの伝統的価値観)に根本的に合致しないというメッセージを全人口に送ることが目的である、とも読める。
サーコージー大統領の党は、顔を覆うベールは「are a prison for women, they are the sign of their submission to their husbands, brothers or fathers(女性に対する監獄であり、夫や兄弟、父親に対する従属物であるという象徴)と表現しており、さらにこれは「公共の場で顔を覆うことを禁じる法案」と慎重に言葉を選んでおり(イスラムの言葉はひと言もない)、この法が決してイスラム系市民に対する抑圧でないこと、フランスの全国民の利益に適うものであることを強調している。ちなみに、バイクのヘルメットやフェンシング、健康上の理由での覆面、カーニバルの覆面は例外扱いとなっている。
フランスは、以前にも宗教的な装飾品を学校に持ってくることを禁じる法律を整えたり、Secularismの伝統をかたくなに守っている姿が見える。カナダにも内なるフランスともいえるケベック州があり、同州でもフランスほど厳格ではないものの、こうした自分たちの価値観にしっくりこない文化的伝統を受け入れたくないという姿勢も見えている。
フランスでも、カナダでも、他国で生まれた移民の子どもたちが、自分たちの生まれた国(フランス、カナダEtc…)ではなく、両親の文化をかたくなに守ろうとするという傾向が社会現象として現れている。たとえば、カナダ生まれのタミル系2世が、スリランカに戻って政治運動をしたり、両親を驚かせるほど彼らの母国との結びつきを強めたりしている。この現象は非常に興味深く、背景には彼らが主流社会に受け入れられていないという根本的問題が彼らをFundamentalismへと駆り立てているのではないかと指摘する論者も多い。
結局のところ、人口移動がこれほど頻繁に起これば、自国に他文化をどう受け入れるかという点は、さまざまな国でさまざまな社会問題となって表面化してくるであろう。
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