パリでサミットが行われている期間中、パリを拠点とし、各国の財政予測や経済政策のアドバイザーとして知られるOECDは、居住環境、保健、統治、仕事と生活のバランス、環境や満足度などの指標をもとに加盟34カ国Better Life Indexを発表した。これまで、GNPをはじめとする経済指標で先進国を測ってきたOECDもここにきて、経済以外の指標を使って各国の状況を把握しようとしているようだ。
以下は私がOECDデータをもとにまとめたカナダと日本の比較表。Referenceは
http://www.oecd.org/document/63/0,3746,en_2649_201185_47912639_1_1_1_1,00.html
OECD平均 カナダ 日本
年間収入 22284 USD 27015 USD 23210 USD
雇用率 65% 72% 70%
年間就労時間 1739時間 1699時間 1714時間
就労している母親 66% 71% 66%
24~64歳:高校卒業率 73 87 87%
読解力(PISAプログラム) 493 524 520
平均寿命 79歳 80.7歳 82.7歳(最高)
大気汚染 22マイクログラム 15 27
セイフティ・ネット 91% 95% 90%
投票率 72% 60% 67%
「人生は上々だ」(満足度) 59% 78% 40%
私の知っている日本とカナダのデータを比べてみると、私の実感とはかなりずれている部分があるように思う。たとえば、年間就労時間をみると、日本はOECDのうちでも平均以下となっているが、私の実感では残業などを考えると、とても平均以下であるとは思われない。さらに、「就労している母親」指標で、日本はOECD平均の66%、カナダは71%だが、私の実感では、同じように「就労している母親」のカテゴリーに含まれればそうなのだが、カナダではフルタイムで働く母親が多いものの、日本ではパートタイムが圧倒的に多いように思う。
しかし、最後の「人生に対する満足度」の日本の低さはちょっと悲しい。経済的なことをいえば、日本は明らかに平均を上回っているのに比べ、この数字は何だが非常に意味深だと思う。バングラデッシュ出身の友人が私に、「世界で最も不幸せだと思っている国民は日本人」と言っていたのを思い出す。彼は、自分の国は経済的には非常に問題があるけれど、人々はそれぞれの人生を幸福だと感じていると言っていた。私はこういう十羽一絡げ的なコメントは避けたいが、40%というのはちょっと信じ難い。
私の思う「日本に足りないもの」を書き出してみる。
• 政治や社会に対する信頼感
• 人々が将来に希望をもつための公正で開かれた社会
• Diversity/多様性 (社会的多様性というのだろうか。人口だけでなく、意見の多様性や、選択の多様性など。そのためには社会がオープンでなくてはならない)
• 個人と社会をつなぐネットワークの確率
カナダと日本に暮らした私の実感では、以上のようなものが日本にあれば、日本はもっとすばらしい国になると思うし、そうなってほしいと願っている。
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