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Friday, January 27, 2012

放射能から身を守る方法

恐らく日本に住んでいるとピンとこないかもしれないが、海外で放射能被害を研究している専門家の一部では、「日本では放射能被害が広がっている」という事実はもう常識。この常識を前提として「では、どうすれば放射能被害を最小限に抑えられるのか」という議論がなされている。


以前、このブログでもご紹介した放射能専門家のクリストファー・バルビー博士は、放射能を取り込まないための方策としてカルシウムとマグネシウムのサプリメントを摂取することを推奨していた。同じように、Mark Sircusという医師は「放射能被害からDNAを守るマグネシウムとカルシウム」というタイトルのブログを載せ、バルビー博士の主張をサポートしている。このサイトには先述したマグネシウムとカルシウム摂取を勧めるバルビー博士のYou Tubeビデオも転載されている。
http://blog.imva.info/medicine/magnesium-calcium-protect-dna-radiation


また、アメリカのドクターであるキャロリン・ディーンのインタビューでは栄養素による放射能に対する処方が紹介されている。彼女の肩書きにはNutritional Magnesium Associationのディレクターとあるので、マグネシウム効能のプロパガンダと見えるかもしれないが、こうしたオルタナティブ療法も一応頭に入れておく必要があると思われる。
http://www.nutritionalmagnesium.org/articles/nutrition/304-magnesium-supplements-a-radiation-remedies.html


以下はCarolyn Dean(Medical Director,Nutritional Magnesium Association)のインタビューの抜粋。
ただちに現れる放射能被害の症状とは?


「放射能は免疫機能に大きな弊害をもたらし、体内の多くの栄養素を破壊します。甲状腺は放射能被害を受けやすい。甲状腺はホルモンを体内に送り、多くの体機能を司る一助となりますが、もしその機能がうまく働かなかったり疲弊していれば、エネルギーの低下、体重が徐々に減ったり、メタボリズムや排泄機能および思考過程の遅れ、さらには体温の低下や不妊といった症状として現れます」




放射能にさらされると、長期的にはどんな健康被害が見られますか?


「がんや遺伝子の突然変異が見られます。これらは、頭および脳の大きさが通常より小さかったり、目が完全に発達しない、成長がいちじるしく遅い、あるいは精神遅滞、知的障害として現れます」




放射能被害を最小限に抑えるにはどんな方法がありますか。


「1日に1回、150ミクログラムのイオダイン(ヨウ素)127を取ること。そのためには、1日に5~10グラムの海草をとることが有効です。日本語では「昆布」として知られている海草が最もヨウ素を多く含んでいます」




「また、ポタシウム・イオダイン(ヨウ素カリウム)の摂取も有効です。しかし、ポタシウム・イオダインは大量に摂取すると副作用が懸念されるため、核炉心メルトダウンが起きた15マイル以内の範囲にいる方々に対して緊急用として与えられます。ですから、医師や保健機関など専門家によって放射能が居住地域に到達したという明確な通知がない限り摂取すべきではありません。FDA(アメリカ政府食品管理局)は以下のポタシウム・イオダイン摂取量を安全と承認しています。1ヶ月以内の乳児:16mg、1ヶ月から3歳:32mg、3歳から18歳:65mg、成人:130mg」




「放射能を体外に排出する他の方法としては、ハーブの一種、タイムのお茶を摂取することです。1テーブルスプーンのタイムを沸騰したお湯に入れ、20分間蒸らします。これを冷まし、タイムを取り除いて1日2杯飲みます。このお茶は、クレンジングや血液のリンパ管、さらには甲状腺や胸腺にも有効です。昆布などの海草、味噌汁も放射能の害を減少させる役に立ちます」


うーん、味噌汁に海草、昆布。海草が汚染されていなければ、の話だろうけれど。対放射能療法のマグネシウム+カルシウムのサプリメントについてはこれからもちょっと勉強して、またアップします。

Tuesday, January 17, 2012

福島原発事故:今後20万人が発癌?

福島 東京も放射能汚染深刻!20万人が発癌を予想!英TV番組(字幕) SkyTV
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Qqyk4bVVYKQ

クリストファー・バズビー博士のインタビュー(日本語字幕付き)Uploaded Jan.12, 2012の概要
・フクシマはチェルノブイリ事故以上の大惨事
・日本の大部分が大規模放射能汚染を受けている
・日本政府は即時に東京までの住民を以南へ避難させるべきだった
・今後、被害エリアの20万人が発癌する可能性
・放射能被害を抑えるにはカルシウムとマグネシウムのサプリメントが有効。ビタミンDも有効
・日本には商用でも行くべきではない
・放射能被害から逃れるには国外から出る、それができなければ少なくとも東京から南に避難すべき

ひとつの情報として理解し、自分の判断で行動すべし!

Thursday, April 14, 2011

被害者から加害者へ-震災と原発事故

今回の震災後、私が日本人だと知っている友人・知人は、日本にいる私の家族の安否を心配して電話をくれたりメールを送ってくれたりしていた。すべてが「こんなに悲惨なことが起こってしまって日本に対して同情を感じる」というものだった。

それが、ここ数週間、微妙に変わっているような気がする。今日、エレベータで偶然会った女性は、私が日本人だと知ると、「日本で今起こっていることは信じがたい(unbelievable)。あんな原発事故は絶対にあってはならない」と言った。私を個人的に非難したわけではないことは口調からわかったが、私自身、これは身にこたえた。

実は、数日前もカフェに行って座っていた私の向こうで、男性同士が話をしていてそれが耳に聞こえてきたのだが、「日本は汚染を世界中に垂れ流している」という話をしながら「無責任な国だ」と日本政府か日本国民を批判していた。私はこれを聞きながら本当に日本人として申し訳ないという思いと、日本人としての悲しみに胸がえぐられるようだった。

震災後、トロントの日系コミュニティではそれぞれのグループがチャリティ・イベントを組織・開催して、カナダ人から莫大な寄付金を得て、それをカナダ赤十字などのチャリティ団体に寄付してきた。私も微力ながら、私の住んでいるトロント大学家族向けレジデンスでチャリティ・イベントを企画し、開催した。今でも、そういう寄付イベントを続けている団体があるようだが、私はここにきてすでにその気持ちを失っている。震災に関しては日本人は被害者であったが、原発事故に関しては放射能汚染を大気圏、海洋に撒き散らす加害者になり、立場が逆転している。被災者にとっては信じがたいだろうが、私の住むトロントをはじめ、海外に住む(海外の報道を日常的に目に、耳にしている)人たちには、日本は「同情に値する震災被害国」のイメージ以上に「放射能汚染国」とのイメージを強くしている。

先日、聞いた「無責任な国だ」という男性のコメントは私の心を暗くしている。それは、「無責任な国民だ」と言われているも同然だ。少なくとも政府は事実を隠蔽することなく正確に発表し、メディアも批判精神をもって報道にあたってほしいと切に思う。

オンタリオ州でも放射線量数値が上昇

Ontario radiation levels up but officials say there’s no danger (Toronto Star, April 13)

4月12日、オンタリオ州は日本での福島原発事故以来、オンタリオ州での放射線量レベルがわずかに上昇していることを発表した。市民の健康への影響はないという。オンタリオ州は大気、水道水、食品の放射線量は定期的に測定している。アメリカの州でも放射能量レベルが上昇、一部の州では放射線物質ヨウ素131が牛乳、水道水、雨水から検出されたことから、カナダでも州政府が警戒すべきだという意見も強い。

2010年の1日平均の放射線量は0.28マイクロシーベルト、2011年4月10日では0.30、4月9日では0.27マイクロシーベルトだった。オンタリオ州には、Pickering、Darlington、Bruce、Chalk Riverに原子力発電所があり、食物や水中、大気圏で放射線量を月単位で測定している。

Wednesday, April 13, 2011

「7」の真意は?

今日のGlobe誌の記事を読んだ。
日本政府は、福島第一原発事故を国際的な原発事故の尺度で最悪の「7」に引き上げた。

報道によれば、福島事故の放射線物質の放出量は、現時点でチェルノブイリの10分の1であるらしいし、原子炉が稼動中に爆発して、大量の放射線物質を放出したチェルノブイリとは違い、福島では原子炉はシャットダウンしている。これまで福島原発からのヨウ素131の放出量は、370,000~630,000テラベクレルで、チェルノブイリの5.2millionテラベクレルと比べようもない。

では、どうして日本政府は7に引き上げたのだろうか。それがよくわからない。今後も放射線物質が放出される可能性は否めないし、チェルノブイリの原子炉は1基だったのに比べ、福島では問題の原子炉が4基もある。今後、状況が悪化する恐れを鑑みての7なのだろうか。

一方では、IAEAや原子力推進派はこの最悪の評価が「今後の原子力推進に歯止めをかける」と嫌悪感をあらわにしている。

個人的にはチェルノブイリと同等とは思わないし、まだ被害の全容が明らかになっていないこの時点で7というのは理解できないが、原子力推進に歯止めをかける目的であれば大いに歓迎したい。

Friday, April 8, 2011

放射線量のめやす(Radiation Doses)

Globe紙Report on Business(April 6, 2011)より
単位:ミリシーベルト  1ミリシーベルト=1,000マイクロシーベルト

2.4: 人が1年間で平均に浴びる量
6.9: 胸部CTスキャン
50: アメリカの原発労働者が1年に浴びてもよいとされる上限
100: ガン発生率の増加
170-180:3月24日に福島で3人の作業員が浴びた放射能レベル
250: 福島第一原発で現在作業員が浴びてもよいとされる上限
350: チェルノブイリの住民が浴びた量
700: 2週間以内に嘔吐、髪の毛が抜ける
1000: 3月27日 福島第一原発2基の水中に検出されたレベル
3000: 生存率50%
6000: 1ヵ月以内に死亡。チェルノブイリ作業員が受けた量。
10,000:2週間以内に死亡

Wednesday, April 6, 2011

放射性汚染水を太平洋へ放出

Globe紙のRadioactive water dumped into ocean from Japan's crippled nuclear power plant によると、TEPCOと日本政府は、高度に汚染された放射性汚染水を海中に流しているという。以下、かいつまんで翻訳。

・4月4日月曜日の午後から、TEPCOは日本政府の了解のもと、300万ガロン(1ガロンは約3.8リットル)以上の放射性汚染水を太平洋に流している。
・「高度に放射能汚染された水が広がるのを避けるためのやむを得ない手段であり、申し訳ないと思っている」枝野長官
・政府の発表によれば、この放射性汚染水が周辺の魚介類の安全性に及ぼす影響はないという。
・土曜日(4月1日)に、放射性汚染水が海へ流れている割れ目を発見した。
・海水中の法的基準を超える放射能は過去数週間にわたって測定されており、月曜日の放射能レベルは以前と変わらないと報告されている。
・これまで海に流されてきた放射能汚染の低濃度の使用水でも、法的基準の500倍もの汚染レベル。

やはり「環境被害は国境を越える」。
もうここまできたら日本だけの問題ではすまなくなっている。日本から飛来した放射性物質はアイルランドでも、カナダ東海岸のニューファウンドランドでも発見されているし、ワシントン州のミルクからも放射性ヨウ素131が検出されたというし、今後、状況が悪化すれば、環境被害の国際的補償問題にまで発展する可能性だってある。

2010年5月、メキシコ湾でのBPのオイル流出事故でも、たくさんの人たちが激怒したが、今回は何せ高度に汚染された放射能汚染水だからオイル以上に海洋汚染は広がるし、被害は長期に及ぶだろう。あのときBPの対応は世界中から非難されたが、今回のTEPCOと日本政府の対応はそれを上回る非難を避けられないだろう。

Thursday, March 31, 2011

放射能汚染された食品の長期摂取について

3月28日付けGlobe紙の “Radioactive food is a slow-release health threat” (Dr. Shafia Qaadri)は、今後、日本の食品の安全性、それを消費した日本人口への長期的な健康への悪影響について警鐘を鳴らしている。

現在、原乳、ほうれん草などの野菜、花、飲料水、海水中への放射能物質混入が報告されているが、中国やアメリカ、カナダなどの各国は日本から入ってくる食料の放射能汚染を厳しく検査している。

Dr. Qaadriによれば、日本の放射能被害はまだまだ始まったばかり。とりわけ健康への被害が懸念されるのは、妊娠中の女性とその胎児(妊娠初期に最も被害があらわれる)、子ども、家系に遺伝系の病歴のある人。
医師としての自らの経験として、1986年にチェルノブイリ原子力発電所のあったプリピャチで双子を妊娠中の女性が、カナダに移住してきて子どもたちが5歳になったときに血液ガンの宣告をしなくてはならなかったと書いている。

もちろん、今回のフクシマ(今後、こういう表記になるだろう)は、今のところ、放射汚染に関しては低濃度ではあるが、放射性物質は年単位から1000年単位にわたって土壌や水といった環境に残留する。たとえば、放射性ヨウ素131は8日、セシウム137は30年、モリブデン99は20万年以上にわたり残留する。

こうした放射性物質に汚染された食品を体内に取り込むと、発ガン率の上昇へとつながる。よく聞かれた「直ちに健康に害を及ぼす値ではない」という言葉は、実のところ、長期的にじわじわと健康へ害を及ぼしている、ということだろう。WHOの報道官Gregory Hartlは、大気中の放射能にさらされるのと違い、放射能汚染された食品を繰り返し消費することの危険度ははるかに高いと指摘している。

Japan urges calm over food worries (Reuters)

ロイターズによれば、福島第一原発付近の海水の放射能レベルは上昇しており、原発から330メートル南では法的基準の4385倍もの放射性ヨウ素131が検出され、原発の土壌では猛毒のプルトニウムが検出されたという。

現在、日本政府は原発の周囲20キロを避難指示区域としているが、IAEA(国際原子力安全委員会)の避難区域を40キロへ拡大するべきだとしている。日本政府は現在その件を慎重に検討している。

また、ロイターズの調査によれば、日本政府およびTEPCO(東電)は、過去に原発の危険性を繰り返し軽視し、安全性に対する専門家の警告を意図的に無視してきたという。TEPCOは6基のうち4基は廃炉とすることを発表したが、破損した原子炉の廃炉は何十年にもわたる危険な作業となる。(抜粋して翻訳)

パニックになってるのは私なのか/パニックにならなくていいのか

どうやら日本に住んでいる日本人にとっては、私が不必要な心配をしていると映るらしい。海外の報道は原発ばかり取り上げている、と思っているようだ。東京に住む妹いわく「海外メディアは極端に悲惨な映像を流しているようだけど、東京にいる私たちは毎日いつもどおりに生活をしている」。

同じような意見は、先日JFで開催されたパネルディスカッションでも指摘されていた。「海外メディアは原発一点に的を絞った一方、日本メディアは国民の恐怖を煽らないようなバランスの取れた報道をした」
東京に住む外国人はパニックになってすぐに日本から去っていったけれど、日本人は冷静に対処した、という話は繰り返し耳にしている。

もちろん、私もそうであることを祈る。あとになって「いやあ、パニックになったのは私のほうだったね」と笑って言えればいい。でも、未だに福島第一原発の状況は刻々と深刻化し(今日3月31日CBCニュースでは、ワシントン州の牛乳に放射性ヨウ素131が検出されたという。原発付近には毒性の高いプルトニウムが漏洩していると示唆)、一方では柏崎・刈羽原発の放射能漏れまで報道され始めた。放射能被害の実態はまだまだ把握されていない。専門家は、フクシマ放射能被害があきらかになるまでには10年はかかると見ている(Dr. Shafia Qaadri)。

「日本は大丈夫。日本人は大丈夫」と楽観的なことを言うにはまだまだ時期尚早ではないか。とくに学者や専門家にはもっとdiligenceになってもらいたいと思う。

Wednesday, March 30, 2011

震災・原発事故に関する友人からのコメント

「家族は無事?」

当然、このコメントが最も多いのだけれど、私が「両親は広島に住んでいるから大丈夫」と言うと、話はすぐに福島第一原発事故に流れていく。カナダ人がいちばん知りたいのは原発のことだという感じは明らかにする。「ヒロシマ」と「フクシマ」は切っても切れない関係になったのだ!

「世界初の被爆国がなんであんなに大量の原発を持っているのだ? 非常に矛盾しているじゃないか」

この友人は今回のことがあるまで、日本が国内の電力需要の30%を原発でまかなっているということを知らなかったという。というか、被爆国日本が原子力発電を選ぶ、ということ事態、思いもつかなかったらしい。ヒロシマ・ナガサキでは被爆国として被害者側に立っていたが、今回のフクシマでは放射能物質による環境汚染で世界に放射能被害を与えた加害国となってしまった。何たる皮肉であろう。

「今回の地震で倒れた高層ビルは今のところなかったらしいが、それが非常な驚きだ」

これはウォータールー大学の助手をしているエンジニアの友人のコメント。以前も同じようなコメントを聞いた。彼の出身国イランも地震が多いが、M8以上の地震が来ればテヘランのほとんどのビルは倒壊するだろう、と言っていた。日本のインフラはすごい、ということなのだろう。

「あんな規模の地震が他の国で起こったら、被害は日本の規模では済まされない」

というのも聞いた。この人は、地震に対して最も準備周到な日本だからこそ、被害の規模はそれほど大きくなかったのだと言う。

「なんで原発を津波被害の可能性のある沿岸地域につくっているんだ?」

私も知らなかったのだけれど、あとで調べたら、発電のために出される蒸気を冷却する必要があり、冷却のために海水を使っているかららしい。しかし、排水や廃棄物を捨ててたり、もしものことが起こった場合に海に投げ込めばいい、という感じで作っているのではないか、と私はなんだか非常に危険なことを想像したりもする・・・。

「日本では活断層の上に原発がつくられているらしいが、どうして(そんなばかなことをしているん)だ?」

というのも本当に困る。ちなみに( )内は彼の口調から、こういうことを言いたいんだろう、という私の推測。これは、きっと新潟の柏崎・刈羽原発のことだろうと思うが、それは2007年の事故の後、はじめて明らかになったとか。 そう言うと、今度は、

「それはきちんと調査を最初にしていなかったからだ。日本は安全基準が高いと言われているのに・・・」

ということになって、ふたりしてお互いの無言を耐えるしかなかった・・・。

「略奪がまったくないのは驚きだわ」

これは2005年のハリケーン・カトリーナ(アメリカ)の際の略奪を強烈に覚えているフィリピン系の友人のことば。

「忍耐強く配給の食糧を待ったり、日本人は冷静に極めて秩序正しく対応していると聞いている。日本はCivilizedな国だ」

海外メディアはこの点をステレオタイプを煽るかのように報道してきたと私は思うし、それは、日本人という国民に対して彼らが以前から抱いていたステレオタイプにぴったりと合致したことで、こうした面が余計に強化されて伝えられたのだと思う。読者や視聴者もそれを喜んで受け入れたし。こういうポジティブなコメントを手放しで喜んでいる海外在住の日本人もいるが、こういうステレオタイプの危険性には注意すべき。

Monday, March 28, 2011

頭を下げる東電幹部

おととい(3月26日)のToronto Star紙の「読者の声」欄に、「日本のような断層が数多くある国で原子力発電に力を入れるのはおろかなことだ」というのを目にした。「おろかな」にはStupidという強い言葉が使われていた。

今日のStar紙には、東電幹部が頭を下げて謝罪している写真が掲載されていた。東電は、これから、多額の損害賠償、廃炉の費用、刑罰などで経営上まわっていかないだろう。しかし、10年しか使えない原子炉を40年にもわたって使ってきた東電には、一体、経営上のリスク・マネージメントなどまったく存在しなかったのだろうか、と不思議に思う。企業経営者であれば、事故が起きたときはどうなるのかをシュミレーションし、そのうえで経営上の計画に生かしていく必要があると思うのだが、そういうことをまったく考えてこなかったのだろうか。経営者として、そんなことがありえるのだろうか。

また、これも25日付けToronto Star紙で読んだことだが、今回の原発事故によって次のようなことが懸念されるとあった。

・今後、日本全土で世代を追ってガンの発生率が上昇する可能性
・奇形児が生まれる確率が高まる可能性
・何十年、何百年にわたって土壌汚染や水質汚染が続き、それを食べ続けた消費者には健康への被害がおよぶ可能性

1986年のチェルノブイリ事故の結果、周辺地域は360年間は人間が住めない状態になっている。「風向きによっては日本全土がInhabitable(住むことが不可能)になる可能性もある」ともどこかで読んだ。

この責任を誰が取るつもりなのだろうか。幹部が頭を下げたくらいでは到底済まされない。

Friday, March 25, 2011

東電の犯罪

BBCのウェブサイトから拾ってきた情報。
2240: American investigative journalist and Japanese crime expert Jake Adelstein writes in his blog that: "the Japanese police are quietly beginning an investigation into TEPCO, the managing entity of the Fukushima Nuclear Reactor for charges of professional negligence resulting in death or injury." He says the investigation is still in its early stages and that nothing is official yet.
ソース) http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12307698

耐久年度10年の原子炉を40年も使ってきた結果は、「事故」ではなく「犯罪」として扱われるべし。

CBCのウェブサイトで見た福島第一原発1号基のコントロール・ルーム(制御室?)の写真
http://www.cbc.ca/news/world/story/2011/03/25/japan-nuclear-plant-core.html

まるで1970年代? スタートレック? スイッチボード? 未だにこんな古いものを使ってたなんて・・・。

専門家の無責任さ-これは事故ではなく犯罪である

先日、国際交流基金で行われたThe 2011 Earthquake in Japan: The Reality and Insights into Recoveryと題するパネル・ディスカッションで、デイビッド・ウェルチ(ウォータールー大学教授)は、原発はクリーン・エナジーであると強調したうえで、「日本が今回のことで原発をやめ、他の電力ソースに頼れば、より大きな被害が出る」と主張していた。
 
最近、この手の議論をよく聞く。「原子力発電はCo2を大量に排出する石炭、日々環境汚染を引き起こしているタールサンドなど他のエネルギー資源に比べると、はるかにクリーンである」とか、「原発は事故さえ起こらなければ他のエネルギーソースより安全」という主張は、原発推進論者のみならず、環境保護アクティビストのなかにも聞かれる。

しかし、それは短期的に見て、という意味において有効な理論に過ぎない。核廃棄物の処理をどうするか、ということになると、専門家ですらまったくどうしていいかわからない。それが何百年にもわたって環境を汚染するのである。それに、原子力発電所付近に住んでいる住民にどれほどの長期的な健康への被害が出るのか、ということも実は一部しか知られていない。それに、原子力発電所で大量に使用された排水は海に流されているそうだが、それが「付近の住民」のみならず、世界的規模で健康への影響を与えているのかといった結果はまだ誰も知らない。

このように、原子力発電は非常に新しい技術であり、それが環境や人間の健康に与える影響についてはまだまだ研究不足なのである。

それなのに、私が聞いていて気分が悪いのは、専門家などがあたかも自分だけは真実を知っています、というかのごとくに今回の原発事故(これを「事故」と呼ぶのは間違っている。事故ということばを聞く人に「原因不明だし、仕方なかったんだ」と思わせるための操作であると思う。はっきり「犯罪」だと言うべし)は「大丈夫」だとか「日本はすばやい復興を果たします」といったような、本当に無責任な言い方をしていることだ。JFでのパネルディスカッションに招かれた3学者(添谷芳秀氏、田所昌幸氏、木村昌人氏)がまさにそうだった。会場からの出された「放射能被害を受けた人たちに対するサポート」を懸念する質問に対し、田所氏は「今のところ、ただちに放射能被害を受けた被曝者はいない」と実に楽観的な見解を示していてあきれたが、その2日後のGlobe紙で、「2名の作業者が被曝」という記事を読んだ私には、この学者たちの無責任さに東電の記者会見していた人たちの顔がだぶってみえた。

インタビューなどされると、彼らは専門家だから、誰も「私にはわからない」とは言わない。でも、本当のところは、全体図をつかんでいる人はひとりもいない。チェルノブイリの事故だって、結局ことが明らかになったのはずいぶんと後になってからであるし、それだって未だに全体図がつかめているわけではない。結局、ことが終わってからでしか、被害の大きさや将来への影響などといったことは分からない。以前、ブログに書いたように、真実は誰も知らないのに、知ったかのようなことを述べたり、さらに悪いのはその上で「大丈夫、安心しなさい」と市民をだまくらかす輩のいかに多いことか。そうやって、東電をはじめ、地方の電力会社は周辺の住民をだましてきたことで、多大な利益をあげてきたわけだし、今回の「大犯罪」を犯した東電が、今後、また企業として生き残っていけるのなら、日本社会は狂っているとしか言いようがない。

震災のニュースを海外で日々耳にしていた私は、最初、深い悲しみに胸が張り裂けるようだった。被災した人たち、特に親を失った子どもたちのことを思うと、涙が流れてきた。
でも、今は違う。海外メディアを日本メディアの報道と合わせて読んでいると、憤りの感情が深く頭をもたげてきた。とくに、私には専門家といわれる人たちの無責任さが何よりも頭にくる。

「原子力はクリーンだ」「安全基準を上げれば、安全性に問題はない」という専門家は、いまはまだ生まれていない後世の世代に核廃棄物と地球環境汚染という恐ろしい遺産を残そうとしているのだ。また、「予想を超える」事故が起こったときに、「不幸にも」周辺に住む人たちのいのちなど、気にもかけていないのだ。その無責任さはどこからくるのか。

私たち市民は、こうした無責任な専門家のことばに耳を傾けて、この世紀を超える大犯罪に加担するのか、責任ある市民として行動を起こすのか。今、私たち市民ひとりひとりにその問いがつきつけられている。

Friday, March 18, 2011

日本政府と日本赤十字は海外からの寄付金を必要としていない?

現時点(March 18, 2011)で、各チャリティー団体に集まった日本への寄付金・援助金(Japan Relief)は以下の通り。
Canadian Red Cross $7.7 million
Oxfam, Care Canada, Save the Children $ 330.000
World Vision Canada $ 800.000(目標は3 million)

以上のように、カナダでは今回の日本の地震・津波の被災者に対して多くの寄付金・義援金が集まっている。しかし、今日のThe Globe and Mailには「日本政府や日本赤十字は海外からの寄付金を必要とはしていない」との記事が掲載されていた。(Are charities taking advantage of the urge to help Japan?  http://www.theglobeandmail.com/news/world/asia-pacific/are-charities-taking-advantage-of-the-urge-to-help-japan/article1946825/)

記事の内容を要約してみる。
- 「Red Crossは日本の災害のために集めた寄付金を他のプログラムにまわしている可能性」を示唆
- 「日本が海外からの寄付金を必要としているようには思われない」(Elie Hassenfelt、Co-founder of GiveWell-NYベースのNPOでチャリティー評価をしている団体)。その根拠として、①日本政府の災害救助プログラムが高度に発達している点、②現時点で、日本政府は113ヶ国が援助を申し出たにもかかわらず、わずかに14件のみを受け入れている点、③日本赤十字も未だに国際社会に援助を呼びかけてはいない。日本赤十字は「この時点で外部からの援助の必要はないと判断している、点を挙げている
- Red Crossや他のチャリティー組織は、Disclaimerにもかかわらず、今回日本のために集まった寄付金は日本の災害へ充てると主張している

というように、最終的にはRed Crossほか、他のチャリティー組織も、今回日本のために集まった寄付金は日本へまわすと言っているが、気になる点を1点。

日本政府をはじめ日本赤十字までが海外からの援助(義捐金)を断っている、というふうに記事を読むと取れるが、「日本が海外からの寄付金を必要としているようには思われない」とメディアを通してカナダの人たちに思われては大変だと思う。

寄付金・義捐金は、今後、何年、何十年にもわたって必要になるだろう。被災者の方たち、親を失って孤児になった子どもたち、福島原発付近の避難民の人たちにとって長期にわたって金銭的補償が必要になるのは明らかである。

「日本赤十字はこの時点で外部からの援助の必要はないと判断している」のソースは不明だが、日本政府の代表(大使館、領事館)、あるいは日系コミュニティの代表あたりが「寄付金は被害者にとって必要」という主張をカナダのメディアに向けてしてほしいと願っている。Globe紙のコメント面に、在カナダ日本大使館の石川大使から、カナダの市民への謝礼メッセージとともにその点を主張して載せると効果的ではなかろうか。

同時に、日本赤十字も同じように海外への寄付金の呼びかけ、謝礼メッセージなどのメディア作戦を行う必要があると思われる。

Thursday, March 17, 2011

New York Timesの記事Fukushima Crisis Worsens as U.S. Warns of a Large Radiation Releaseによれば・・・

Jaczkoの査定に基づいて、在日本アメリカ大使館は、福島第一原発の周囲50マイルに住むアメリカ人に避難通知を出した。日本政府の避難通知は、原発から12マイルに住む住民に対してだされている。

US official says threat greater than Japan has acknowledged(The Globe and Mail, March 17, 2011)要約

アメリカ政府関係者の原発危機の危険に関する査定は、日本政府が報告している以上に高い。

Gregory Jaczko(アメリカ原子力規定委員会US Nuclear Regulatory Commission)によれば、4号機内にある使用済み核燃料を貯蔵するプール内の水は、ほんの少量か、全く失われた状態であり、燃料棒が露出しているか放射能を大量に放出している可能性が高い。そのため、原発近辺の放射能濃度は事情に高く、適切な手段をとることを困難にしている。

この後、Takumi Koyamada(保安院報道官)は、4号機のなかの水は失われていないと主張。
Duncan Howthorne(オンタリオ州Bruce PowerのCEOおよびThe World Association of Nuclear Operatorのカナダ支部代表)は、もし水が失われていれば、周辺の放射能レベルは非常に高いはずであるとしJaczkoの「水がまったく失われた状況」に対しては疑問を呈している。

水曜日夜、Jaczkoは先の主張を繰り返した上で、日本政府の委員会もプール内に水のないことを確認したという。また、東京電力と政府高官もこの点を確認し、周囲の放射能レベルが高いために作業に当たれない旨を伝えたという。

木曜日朝にはヘリコプターによる水の投下が始まった。最悪のケースは、作業員が全員退去させられ、燃料棒と使用済み燃料の入ったプールでメルトダウンが起こり、放射能物質の大量放出へとつながることだ。

Wednesday, March 16, 2011

放射能被害の心配

(CBC News報道March 16, 2011 一部引用してざっと翻訳)

一方で、原子力安全・保安院は、1号機の燃料棒の70%が損傷していると推定している。
また、共同通信は、2号機の33%の燃料棒が損傷を受け、1、2号機ともに部分的に溶けていると信じられていると報じた。

原子力安全・保安院の報道官Ohgoda Minoruは「損傷の状態は不明。溶けている可能性もあるし、中にいくつかの穴が開いている可能性もある」と言っている。オーストラリア在住の核問題安全専門家ジョン・プライスは、日本政府が情報をほとんど共有していないことに驚いている。「何が起きているのか、何が問題だったのか、何がうまく行っていないのかといった基本的な情報がないので、我々は推測に頼るしかない。2時間ごとに専門家パネルを招くなどするべきなのだが・・・」。

放射能のレベルを見る限りでは、市民の健康にはリスクはほとんどないが、ボディスーツと防毒マスクで作業に当たっている作業員に対する危険性が気になると言う。政府は原発周辺に住む14万人の住人に屋内から出ないようにとの命令が出ている。東京でも少量の放射能が観測され、食料や水を買い込む人たちでパニックが生じた。

科学万能主義の危険性

今朝NHKを見ていたら、福島第一原発近隣に住んでいた住民が「緊急避難マニュアルはあったのか」との質問に「そんなものは見たこともない」、「東電からは事故など絶対に起こらないから、と言われていた」と答えていた。原発付近の住民が緊急事態を想定したマニュアルを渡されていなかった事実には度肝を抜かれたが、それと同時に東電や政府に対して非常に強い怒りを感じた。

「科学万能主義」ともいえる学者や専門家たちのことばを、今後はしっかりと監視するべきだと思う。当地の新聞を読む限りでも、個人的な意見としても、日本の科学技術の基準の高さは疑いがないだろう。とはいえ、どんなに技術レベルが高くても、人間の能力や技能には限界があるということを忘れ、たくさんの市民の命を犠牲にしかねない危険な政策を推し進めることは絶対にあってはならないと思う。

厚いコンクリートの外壁が放射能の深刻な漏洩を防ぐだろう

Toronto Star 紙(March 16, 2011)から抜粋、ざっと翻訳

地震被害を受けた日本国民にとっては、原発のメルトダウンに関する心配度は低い、とカナダ人放射能専門家は言う。

東京電力福島第一原発からの深刻な放射能漏れの危険性は、一連の爆発や3基の燃料芯が溶融している事実にもかかわらず、そんなに高くはないだろう。

「今回の地震被害では、被爆は健康に対する被害という意味では大きな意味を持たない」とトロント大学教授で、Southern Ontario Centre for Atmosphere Aerosol Researchの代表を務めるグレッグ・エヴァンズ教授は言う。

3つの原子炉の濃縮ウランを冷却するポンプを動かす電力がなければ、電力を発電するために使われる燃料は溶ける可能性が高いとエヴァンズ教授は言う。溶ければ、それを囲んでいる20センチの鉄製の容器も溶け、床に落ちる可能性がある。

1979年のスリーマイル島原発で起こった事故はまさにそうしたケースだったが、動かなくなったバルブによって1基の燃料が過剰に熱を持つことになった。

しかし、スリーマイル島と同様に、福岡第一でも、過剰に熱を持った核燃料が床の上を通して地下で完全に溶けた「チャイナ・シンドローム」になる可能性はほとんどないだろうとエヴァンズは言う。

その理由は、福岡第一の原子炉は、1メートルの厚さのコンクリート壁で囲まれているからだ。これにより、崩壊したウランから落ちる分裂によってできる危険物質を原子炉のなかに留めることができるわけである。コンクリートを通して溶ける可能性はない、ということだ。

一方で、1986年のチェルノブイリでは、爆発が施設の屋根を吹き飛ばし、封じ込めておくための構造が消滅した。さらに、後続する火事によって原子炉の放射能は大気圏へと拡散し、放射能を帯びた雨によって何百キロにも及ぶ範囲に広がった。

万が一、封じ込めるための建物に裂け目があったとしても、今週の爆発をみれば、チェルノブイリよりは危険度の低い放射能漏れとなるだろう。

マクマスター大学の放射物専門家ジョン・ルクサトは、最悪のシナリオでも最も危険な放射物は、原発付近にたまるものと見ている。