Toronto Star 紙(March 16, 2011)から抜粋、ざっと翻訳
地震被害を受けた日本国民にとっては、原発のメルトダウンに関する心配度は低い、とカナダ人放射能専門家は言う。
東京電力福島第一原発からの深刻な放射能漏れの危険性は、一連の爆発や3基の燃料芯が溶融している事実にもかかわらず、そんなに高くはないだろう。
「今回の地震被害では、被爆は健康に対する被害という意味では大きな意味を持たない」とトロント大学教授で、Southern Ontario Centre for Atmosphere Aerosol Researchの代表を務めるグレッグ・エヴァンズ教授は言う。
3つの原子炉の濃縮ウランを冷却するポンプを動かす電力がなければ、電力を発電するために使われる燃料は溶ける可能性が高いとエヴァンズ教授は言う。溶ければ、それを囲んでいる20センチの鉄製の容器も溶け、床に落ちる可能性がある。
1979年のスリーマイル島原発で起こった事故はまさにそうしたケースだったが、動かなくなったバルブによって1基の燃料が過剰に熱を持つことになった。
しかし、スリーマイル島と同様に、福岡第一でも、過剰に熱を持った核燃料が床の上を通して地下で完全に溶けた「チャイナ・シンドローム」になる可能性はほとんどないだろうとエヴァンズは言う。
その理由は、福岡第一の原子炉は、1メートルの厚さのコンクリート壁で囲まれているからだ。これにより、崩壊したウランから落ちる分裂によってできる危険物質を原子炉のなかに留めることができるわけである。コンクリートを通して溶ける可能性はない、ということだ。
一方で、1986年のチェルノブイリでは、爆発が施設の屋根を吹き飛ばし、封じ込めておくための構造が消滅した。さらに、後続する火事によって原子炉の放射能は大気圏へと拡散し、放射能を帯びた雨によって何百キロにも及ぶ範囲に広がった。
万が一、封じ込めるための建物に裂け目があったとしても、今週の爆発をみれば、チェルノブイリよりは危険度の低い放射能漏れとなるだろう。
マクマスター大学の放射物専門家ジョン・ルクサトは、最悪のシナリオでも最も危険な放射物は、原発付近にたまるものと見ている。
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