Friday, January 27, 2012

放射能から身を守る方法

恐らく日本に住んでいるとピンとこないかもしれないが、海外で放射能被害を研究している専門家の一部では、「日本では放射能被害が広がっている」という事実はもう常識。この常識を前提として「では、どうすれば放射能被害を最小限に抑えられるのか」という議論がなされている。


以前、このブログでもご紹介した放射能専門家のクリストファー・バルビー博士は、放射能を取り込まないための方策としてカルシウムとマグネシウムのサプリメントを摂取することを推奨していた。同じように、Mark Sircusという医師は「放射能被害からDNAを守るマグネシウムとカルシウム」というタイトルのブログを載せ、バルビー博士の主張をサポートしている。このサイトには先述したマグネシウムとカルシウム摂取を勧めるバルビー博士のYou Tubeビデオも転載されている。
http://blog.imva.info/medicine/magnesium-calcium-protect-dna-radiation


また、アメリカのドクターであるキャロリン・ディーンのインタビューでは栄養素による放射能に対する処方が紹介されている。彼女の肩書きにはNutritional Magnesium Associationのディレクターとあるので、マグネシウム効能のプロパガンダと見えるかもしれないが、こうしたオルタナティブ療法も一応頭に入れておく必要があると思われる。
http://www.nutritionalmagnesium.org/articles/nutrition/304-magnesium-supplements-a-radiation-remedies.html


以下はCarolyn Dean(Medical Director,Nutritional Magnesium Association)のインタビューの抜粋。
ただちに現れる放射能被害の症状とは?


「放射能は免疫機能に大きな弊害をもたらし、体内の多くの栄養素を破壊します。甲状腺は放射能被害を受けやすい。甲状腺はホルモンを体内に送り、多くの体機能を司る一助となりますが、もしその機能がうまく働かなかったり疲弊していれば、エネルギーの低下、体重が徐々に減ったり、メタボリズムや排泄機能および思考過程の遅れ、さらには体温の低下や不妊といった症状として現れます」




放射能にさらされると、長期的にはどんな健康被害が見られますか?


「がんや遺伝子の突然変異が見られます。これらは、頭および脳の大きさが通常より小さかったり、目が完全に発達しない、成長がいちじるしく遅い、あるいは精神遅滞、知的障害として現れます」




放射能被害を最小限に抑えるにはどんな方法がありますか。


「1日に1回、150ミクログラムのイオダイン(ヨウ素)127を取ること。そのためには、1日に5~10グラムの海草をとることが有効です。日本語では「昆布」として知られている海草が最もヨウ素を多く含んでいます」




「また、ポタシウム・イオダイン(ヨウ素カリウム)の摂取も有効です。しかし、ポタシウム・イオダインは大量に摂取すると副作用が懸念されるため、核炉心メルトダウンが起きた15マイル以内の範囲にいる方々に対して緊急用として与えられます。ですから、医師や保健機関など専門家によって放射能が居住地域に到達したという明確な通知がない限り摂取すべきではありません。FDA(アメリカ政府食品管理局)は以下のポタシウム・イオダイン摂取量を安全と承認しています。1ヶ月以内の乳児:16mg、1ヶ月から3歳:32mg、3歳から18歳:65mg、成人:130mg」




「放射能を体外に排出する他の方法としては、ハーブの一種、タイムのお茶を摂取することです。1テーブルスプーンのタイムを沸騰したお湯に入れ、20分間蒸らします。これを冷まし、タイムを取り除いて1日2杯飲みます。このお茶は、クレンジングや血液のリンパ管、さらには甲状腺や胸腺にも有効です。昆布などの海草、味噌汁も放射能の害を減少させる役に立ちます」


うーん、味噌汁に海草、昆布。海草が汚染されていなければ、の話だろうけれど。対放射能療法のマグネシウム+カルシウムのサプリメントについてはこれからもちょっと勉強して、またアップします。

Monday, January 23, 2012

日本の大手メディアは民主主義の大敵

The Economistの記事。
http://www.economist.com/blogs/banyan/2012/01/japans-nuclear-crisis

この記事を読むと、どれだけ日本の大手メディアが日本の民主主義を腐らせているかが明らかである。政府と記者クラブ(メディア)の癒着、メディアの自己センサーシップ・・・、日本人なら薄々知っているこうした情報を、日本のジャーナリズムではなく、西欧のジャーナリズムが指摘するという事実が何とも情けない。

Tuesday, January 17, 2012

福島原発事故:今後20万人が発癌?

福島 東京も放射能汚染深刻!20万人が発癌を予想!英TV番組(字幕) SkyTV
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Qqyk4bVVYKQ

クリストファー・バズビー博士のインタビュー(日本語字幕付き)Uploaded Jan.12, 2012の概要
・フクシマはチェルノブイリ事故以上の大惨事
・日本の大部分が大規模放射能汚染を受けている
・日本政府は即時に東京までの住民を以南へ避難させるべきだった
・今後、被害エリアの20万人が発癌する可能性
・放射能被害を抑えるにはカルシウムとマグネシウムのサプリメントが有効。ビタミンDも有効
・日本には商用でも行くべきではない
・放射能被害から逃れるには国外から出る、それができなければ少なくとも東京から南に避難すべき

ひとつの情報として理解し、自分の判断で行動すべし!

女児という理由で中絶:「最も極度な女性差別」“It is discrimination against women in its most extreme form” Dr. Rajendra Kale

1月16日以降、カナダで最も権威ある医学ジャーナルCanadian Medical Association Journal(CMAJ)に発表されたドクター・ラジェンドラ・ケールのエディトリアルをめぐって大きな議論が起きている。


ドクター・ケールによれば、「インドや中国でいちじるしい女児の中絶は、数は少ないがカナダでも起こっている。女児の中絶は”女性に対する差別のうちで極端にひどいもの(It is discrimination against women in its most extreme form)”であり、これを防ぐためには性別判定の結果を妊娠30週以前に伝えることを禁止すべきである」。


現在、カナダでは親が望めば妊娠18-19週で性別を知らせてくれる。妊娠30週以降の中絶はに困難が伴なうため医療関係者は推奨しない。


女児を望まない両親による女児の中絶は、インドや中国では数万件という単位で起こっているが、トロント周辺の南アジア系コミュニティでもかなり行われているとされる。The Toronto Star紙によれば、2006年の国勢調査のデータでは、カナダ全国の15歳以下人口で見ると南アジア系コミュニティでは男子1000人に対して女子932人と、一般人口での男子1000人に対する女子953人と幾分不均衡になっている。しかし、これをトロントのメトロポリタンエリア(だいたい市内にあたる)の南アジア系コミュニティで見ると、男子1000人に対し女子917人、トロント近郊のミシサガでは女子904人、さらにブランプトンでは864人と不均衡な度合いになっていることがわかる。


実際、ドクター・ケールの論評は、ブリティッシュ・コロンビア大学の経済学教授ケビン・ミリガンの研究結果に基づくもので、インド系のうちヒンドゥー教徒、無信仰者の中国系のあいだで女児の中絶が故意に行われており、こうしたコミュニティ内の男女比のバランスがいちじるしく欠けているとされる。


当然、この議論に対する批判として出てくるのがright to information(知る権利)である。とりわけ過去20年ほどの間で医療分野では患者の「知る権利」の重要性がますます強調されている。しかし、こうした議論に対し、ドクター・ケールは「胎児の性別判断は医療関連の情報ではないため、この議論は無効である」としている。また、南アジア系コミュニティだけをシングルアウトするのは差別であるとし、すべての妊婦に対して30週を課すことを求めている。


カナダの産科医と婦人科医で構成されるThe Society of Obstetricians and Gynaecologist of Canadaは、ドクター・ケールの示唆は文化的配慮が足りないと批判的な立場をとっているほか、南アジアコミュニティの中にもステレオタイプを煽るとの懸念も出されている。


この議論は、脳死や死ぬ権利をはじめとする医療技術の発展に伴なって出てきた新しい議論であると同時に、マルチカルチャー社会における移民の文化的価値と受け入れ国家の価値(この場合は女性の権利に関する価値)のあいだで起こっている問題という二面性を持っている。同じように、カナダにおける男子乳児の割礼や女性器切除(FGM)の問題もしばしば取り沙汰される興味深い問題である。


参考)
The Globe and Mail:
http://m.theglobeandmail.com/life/health/new-health/health-news/bid-to-curb-female-feticide-pushes-hot-buttons-of-abortion-and-culture/article2304046/?service=mobile#

http://www.theglobeandmail.com/news/national/withholding-sex-of-fetus-could-stop-female-feticide-doctor-says/article2304046/print/

The Toronto Star:
http://www.thestar.com/news/article/1116291--canadian-doctor-s-suggestion-to-delay-revealing-baby-s-sex-ignites-controversy-over-feticide

Monday, January 16, 2012

失敗建築物としてのROM(オンタリオ王立博物館)、そしてカナダ的で美しいAGO(オンタリオ美術館)

AGO: Frank Gehryによるリノベーション
私はROM(Royal Ontario Museum)から遠くないところに住んでいるのだが、ROMに行く度に、この前を通る度に、この建築物の醜悪さと使い勝手の悪さには呆れてしまう。


世界的に著名な建築家ダニエル・リベスキント/Daniel Libeskindによる、世界一級品の建築とされているこの「クリスタル」だが、私には著名建築家のエゴの「結晶」、というか建築物としては大失敗作品としか思われない。


歴史や思想によって細部がほどこされたベルリンのユダヤ博物館を作った建築家の作品とは思えないほど低俗、だと思う。思想性もまったくなし。もともとあった石造りの建築物の北側ファサードに取ってつけただけ、の風貌。それもオリジナルの建築物の方との適合性もゼロ。形が形だけに展示スペースもへんてこりん・・・。こんなんでリべスキントと呼べるの?? 前の古い石造りの方がずっと品格があって好きだわ・・・。


27million(2700万ドル)かかったリノベーションの結果を、実際にお金を出したマイケル・リー・チン氏はどう思っているのだろうか。


それに引き換え、トロント出身のフランク・ゲーリー/Frank Gehryが手がけたAGO(Art Gallery of Ontario)のリノベーションの美しさといったら! 私はフランク・ゲーリーの代表的作品、ビルバオのグッゲンハイム・ミュージアムに対して相反する感想を持っている。一方では、あの無機的な色やファサードには違和感を覚えるが、彼独特の流れるような曲線の使い方には心ひかれてやまない。なので、もちろん彼のAGOリノベーション後に、あの曲線を実際に見たときにはハッと胸をつかれた。


私は建築物のうちでこれほどまでに完璧にオンタリオ州を象徴している作品を知らない。

広大な自然とその自然の静謐さ、美しい水と水脈、ネイティブの持つ自然と人間に関する深い思想、秋のメープルの色、そして土の匂い、水上を静かに漂うカヌーと遠く聞こえるルーンの声。ゲーリーのリノベーションには、確かにこうしたオンタリオ州のエッセンスが感じられる。


AGOがアルゴンキン国立公園や手付かずのネイティブ・ランドに行ってはスケッチをし、トロントのスタジオで作品を完成させたトム・トムソンとグループ・オブ・セブンの作品を多数収蔵していることを考えれば、これほどまでに完璧な建築物はないといえよう。


先日、久しぶりに行ったAGOでGroup of Sevenの画家によるカナディアン・ギャラリーを見たが、やっぱり彼らの絵は素晴らしい(ギャラリーの展示の仕方もすばらしい!)。彼らの絵には、商業デザイン、印象派、日本の浮世絵などいろんな要素が感じられる。アルゴンキンに行くと、まさにGof7の絵の中を歩いているように感じたものだ。
The Group of Seven and Tom Thomson by David P. Silcox


A.Y. Jackson: The Red Maple


Edwin Holgate (The Group of Seven)

Lawren Harris (The Group of Seven)



彼らの絵は絶対に日本人好みだと思うんだけれど、どうして日本ではまったく紹介されていないんだろう。とっても不思議。

Friday, January 13, 2012

カナダで成立した同性結婚の海外での有効性

先日からカナダをにぎわせているニュースといえばこれ。2005年にトロントで同性結婚(same-sex marriage)したレズビアン・カップル(どちらも非カナダ人、それぞれフロリダとイギリス在住)が、離婚しようと思ったら、カナダ政府から「もともとの結婚が合法ではないから離婚もできない」と言われたということで、当事者をはじめ、2004年以降、カナダで同性結婚した非カナダ人カップルのあいだに混乱を招いている。


2004年にカナダ政府が同性結婚を合法化して以降、世界各国から同性結婚を望むカップルがカナダで(とりわけトロントで)結婚式を挙げるケースは少なくない。事実上、カナダで成立した15000件の同性結婚のうちの5000件は非カナダ人によるものであるという統計もある。


カナダ連邦政府法務省の言い分は、カップルがどちらもカナダ在住のカナダ人ではないのだから、彼らの国(あるいは州)が同性結婚を合法化していない限り、結婚は合法的とはいえない、よって離婚も成立しえない、というもの。カナダで合法的に離婚するには、カナダに最低1年は居住する必要がある。また、結婚した当事者の居住地で合法とされている限り、カナダで成立した結婚は合法とされる、という立場を取っている。


カナダで結婚式をあげた非カナダ人の同性カップルにしてみれば、突然、自分たちの結婚の合法性が覆されたのだから、意表をつかれた、というか仰天したことだろうと思う。しかし、同性結婚合法化から7年経った今になるまで、居住地、さらには結婚成立地の結婚に関する法律の違いによる問題は浮上していなかったのかというと、今年になって今回で2件しか浮上していないとのこと(これも驚きだわ!)。報道によれば、法律専門家や法務省は、居住地と自国の法律の間に生まれた、この奇妙なギャップに必死に取り組んでいるようである。


カナダの同性結婚は、自由党(Liberal Party)によって導入されたが、現在、政権を握っている保守党(Conservative Party)は従来、同性結婚に反対の立場であることから、ハーパー政府がこれを機に同性結婚の合法化を覆そうと試みるのではないか、との懸念も出ている。しかし、ハーパー首相は直ちにこれを否定し、現政府がこの問題を蒸し返す意図のないことを強調した。
参考)グローブ紙の記事はこちら:
http://www.theglobeandmail.com/news/politics/justice-minister-vows-to-clarify-laws-on-same-sex-marriages/article2300179/

アップデート:
政府発表「カナダで成立した同性結婚は海外でも有効」


カナダ政府は先日、「カナダで成立した同性結婚(Same-sex marriage)は同性結婚を認めていない国の住民のものでも有効」という発表を出した。

多くの人がこれで胸をなでおろしたことだろう。

Friday, January 6, 2012

国際離婚と”親による子どもの拉致”(parental abduction:ペアレンタル・アブダクション)

1ヶ月ほど前に、CBCラジオ番組のCurrentでparental abductionについて話していた。聞いていると、元妻(日本人)が2004年に子どもを日本に連れ去ったまま子どもと離れ離れになっている、というモリー・ウッドという人がインタビューを受けていた。彼の話によれば、カナダの裁判所からは彼が親権を与えられていたにもかかわらず、2004年、元妻が日本に子どもを連れたまま帰ってしまったとのことである。現在、子どもたちは17、15歳になっており、日本に帰ってから、母親は子どもたちからカナディアン・アイデンティティを奪い、カナダの家族と連絡を取らせないようにしているとのことである。モリー・ウッドは、「親による子どもの拉致」が子どもにもたらす心理的虐待について幾度となく強調していた。


彼の話だけ聞いていると、リスナーはみんな、子どもを取り上げられた父親の悲しみを感じて、「何という母親だろう!」と思ったことだろう。このプログラムのアンカーも彼に同情的だったし、この父親側の話だけ聞くと、ハーグ条約加盟は当然!という意見を抱くのは自然な成り行きだろう。


しかし、実際には国際離婚にともなう「親による子どもの拉致」の実態はもっともっと複雑である。そして、長年、日本政府が欧米から批准を迫られていたHague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction(国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約)を考えるとき、この複雑性が日本政府の批准に足踏みさせていたのだろうかと思えば、ちょっぴり日本政府にも希望が持てるように思ったものだ。だから、2011年5月に日本政府が批准に前向きな姿勢を示したときは、あれっと思った。時事通信 (5月19日付)の”同条約に関する副大臣会議座長を務めた福山哲郎官房副長官は記者団に「子どもの福祉を第一に考え、加盟してもいいのではないかという結論に至った」と語った”を読んときには、「子どもの福祉を第一に考える、なんてそんなの当たり前じゃない! それが結論なら、なんでこんなに長い時間がかかったのよ?」と思ったものだ。


たとえば、このシチュエーションを自分の状況に照らし合わせてみたとき、カナダという外国に住む私(母親)の状況は明らかに不利である。たとえば、裁判になれば、外国人であり、フルタイムで働いていない私に親権が100%下りる可能性はきわめて低い。親権がいくらか下りたとしても、あるいは下りなくても、定期的に夫は面会の権利を求めてくるだろうから(それにそれは裁判所の指示であって断れないから)、日本に帰ることもできない。そうなると、異国の地でシングル・マザーとして生きていく決断をしなくてはならないが、その決断が簡単に下せるわけがない。


しかし、だからといってモリー・ウッドの元妻のように二国間の司法のギャップを考慮もせず子どもを連れて帰るのを推奨することは到底できない。ウッドが主張するように、子どもたちは友達や家族(親類)と突然連絡を閉ざされるのだから、母親の行動に起因する孤立と重荷は計り知れない。


個人的には、日本にはハーグ条約に加盟してほしいと思う。しかし、批准する、批准しないとは別に、国際離婚に伴なう子どもの拉致に関して、欧米諸国と日本政府との間で、先に記したような現実を照らし合わせた相互理解をより深める必要があると思われる。それなくしては、批准しても、批准しなくても、この問題は私たちのような国際結婚カップルに突然襲い掛かってきて、二国間の理解の違いという大きなクレバスのなかに陥って身動きが取れなくなるのは目に見えている。具体的には、二国間の間の法律や文化の違いを理解する専門家やカウンセラーの設置、さらには国際離婚を考えている人たちに対するサポートやメンタル面での援助などを提供する機関の設置が求められる。


数年前、外務省は領事館を通して国際結婚している日本人に「ハーグ条約に関しての意見書」みたいなのを配って、アンケート調査をしていたことがある。実際に当事者となるであろう国際結婚カップルの意見や、その集計はどういう形で、今回の判断(批准するという)につながったのであろうか。せっかく取った調査の結果をきちんと活かすことが必要だろう。


しかし、私にはひとつ腹が立つことがある。それは、こうして国際結婚カップルの問題になると、国際結婚した日本人女性が「非国民」だの「パンパン」だのと野次られることである。そんな低俗な野次に私も応える必要はないと思いながら、そういう輩はKaren KelskyのWomen on the Vergeを読んで自らも一生懸命けなしている当のスキームに巻き込まれている事実を認識することをお勧めしたい。

Thursday, January 5, 2012

3・11地震・津波による瓦礫の一部がバンクーバーに漂着し始めている?

昨年3月の地震・津波によって運ばれた2500万トンの瓦礫が、この冬にはハワイ沿岸部に、2013年までには北米西海岸に漂流するとみられる。US National Oceanic and Atmospheric Administrationは太平洋上を漂流している巨大な瓦礫の動きを常にトラッキングしている。専門家のなかには、この巨大瓦礫はカリフォルニア州ほどの大きさであると見る人もおり、通常は漂着物は漂着した地域を管轄する自治体の責任で片付けられるが、この瓦礫の大きさに日本政府による財政援助を期待する声も出ている。


同じニュースは12月中旬、カナダのCBCニュース番組で私も見た。ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーアイランドのトフィーノの住民のなかには、日本からやってきた瓦礫の一部がすでに沿岸に漂着している、と信じている人もいる(そうした瓦礫・漂着物の一部として「日本製のペットボトル」が映像で写されていたが、明らかにラベルには中国語の表記が見られたので、私は懐疑的・・・)。

一方では、こうした漂着物は、何の変哲もない、大洋を漂う「通常のゴミ」であると見る人たちもいる。


瓦礫は放射能に汚染されているのではないかとか、死体やその一部が漂着したらどうすればいいのか、と心配する声も聞かれている。

CBCのビデオはこちらから。
http://www.cbc.ca/news/world/story/2011/12/15/bc-video-tofino-tsunami-debris.html

Tuesday, January 3, 2012

グローバル食糧危機と昆虫食

アメリカの元大統領ビル・クリントンがヴェーガンになったというニュース・アイテムを読んで、確かに近年クリントンはグローバル政治で倫理面に関する取り組みに積極的に係わってきたことを思うと、まあ、ヴェーガンも納得できるわね、と思っていた(議会で嘘ついたのは彼だったけどね)。しかし、もっと先進的で倫理的なダイエットといえば、それは昆虫食に違いない。


先日、CBCラジオ番組Qで昆虫食(entomophagy)について話していたのだが、それにしても、昆虫食を勧めるダニエラ・マーティン(Daniella Martin)のなんと情熱的だったこと!


昆虫食。ここ最近、この言葉をときどき聞くようになった。トロントでも昆虫を出すレストランがあるとか、一流シェフが昆虫を料理しているとか、グルメの延長としての昆虫食に関心が集まっている。一方では、将来、グローバル規模で食糧難の時代がやってくるという危機感から、たんぱく質やビタミン豊富な栄養食である昆虫食が脚光を浴びている。


ダニエラ・マーティンによれば、古代マヤ文明やアステカ文明では昆虫が食べられていたそうで、昆虫食に対して嫌悪感を示すのは文化的なものだという。「北米では20年ほど前には刺身や貝類を食べることはタブーとされていたが、今ではスシはポピュラーで、貝類をはじめとする魚介類は最も高価な食材のひとつとなっているではないか。昆虫が気持ち悪いというのは慣れていないだけ」。


そして、彼女が言うにはその固定概念に支配されているだけで、「みんな気付かないけれど、毎日、昆虫や虫を食べている」らしい。「マッシュルームには小さな虫がついているし、穀類や豆類にも目に見えない虫がついている」。(聞いてた私は飛び上がりそうになったわよ・・・)

ベジタリアンに対しては、「パンに豆腐バーガーをはさんで食べているあなただって、パンの原料である小麦粉を作るためにはたくさんの虫が殺されている」と応酬する。また、「都会の虫はお勧めできない」とも。いろんな菌がついている可能性もあるし、衛生上の問題がある。なので、「ファームで育てられた飼育昆虫がお勧め」らしい。


このインタビュー、かなり興味深かったのだが、聞いたあとは何だか気持ち悪くなっていた。もちろん、環境にもやさしいし、グローバル食糧難に抗する有効な手段であることも納得しているのだが、どうもやっぱり私には食べられそうにない・・・。食糧難になったらそのときに考えたい(ごめんね、ダニエラ・・・)。


そういえば、ふと思い出したが、1年ほど前、母が日本から送ってきてくれた「イカナゴのくぎ煮」を見て、「キャー!」と思ったことがある。同時に小さなエビの佃煮もちょっと気持ち悪く感じた。その反応に自分でも驚いた。日本にいるときはまったく違和感を感じなかったのだから、恐らく北米でこうしたものを食べないで12年間暮らした結果なのだろう。文化というのは私たちの身体や感覚に深く染み付いていて、私には犬を食べたり、ウサギを食べたりすることに対する嫌悪はあるが、ユダヤ系の友人が嫌悪するタコやイカ、甘エビなどは大丈夫というのだから、「何を食べて是とするか」に関しては線引きが曖昧な判断なのである。


ダニエラ・マーティンは小さいとき東京で育ったと言っていた。その経験が、「自分の文化や特定の文化が絶対ではない」ことを教えてくれたという。たしかに、自分の文化がチャレンジされるような、そうした経験こそグローバライズ世代の子どもたちにぜひさせておかなくてはならないものだと思う。

Monday, January 2, 2012

ネコも人なり。ゴロニャン・・・

義父はプーシキンというネコを飼っている。

プーシキンは義父にとっては「ペット」というより子どものようなものだから、先の文章はちと感覚的にピンとこない。それより、「義父はネコのプーシキンと暮らしている」といった方が収まりがよい。北米のミドルクラス家庭では、とりわけ子どもが巣立った団塊世代の家庭では「ペット」という概念はないのではないか、というのが私の感じである。


夫は義父に電話すると、決まってこう訊ねる。
How is Pushkin?

もう明らかに家族の一員といった扱われ方で、その後、プーシキンが風邪をひいただの、近所の人からクリスマスのプレゼントをもらった(キャット・ミルク)だの、そんな会話が続く。


義父の隣に住むポールとジータにもルパートという黒い犬がいて(種類は私には分からない)、ルパートも何だか中耳炎になっただの何だので、日に何度か薬を垂らしてもらっているらしい。


義父の右隣にはマリーナという女性が3匹の犬と一緒に住んでいる。3匹の犬は冬になるとセーターを着る。ブーツもはいている(ブーツといっても靴下みたいなやつだが)。犬のブーツといえば、少なくとも私の住んでいるトロントのダウンタウンでは、しょっちゅう見かける。雪が降ると、滑らないようにと路上に撒くソルトが爪の間に入って痛むらしい。それで犬のブーツはポピュラーなのだ。


プーシキンの食事は、シニア用のキャットフードである。シニア用はカルシウムや鉄分などが強化されているらしい。肥満の気もあるので、ローファット(脂肪分控えめ)のキャットフードを併用している。


そういえば、最近時折見かける、犬用のストローラー。あれは一体どうなっているのだ? ベイビーかと思ったら、犬が乗っているのに気付いてびっくり仰天した。「帰り道には疲れちゃうのよね~」なんて飼い主は笑っていたが、犬が疲れて歩けなくなって駄々をこねる、という話は生まれて初めてだったが、犬もそこまで進化したってことなのだろうか。


ドッグ・ウォーカー(犬の散歩サービス)、ドッグ・シッターやキャット・シッター(ベイビー・シッターみたいなもの)はともかくとして、犬のデイケア(託児所=託犬所)というのもある。飼い主が留守のときは、犬もひとりでは寂しいということで、デイケアに行くのである。知人ダイアンのビーグル犬は、ときどきデイケアに行っていた。ダイアンの話ではお値段は子どもを預かってもらうくらいらしい。「スナックにはオーガニックのお肉が出されるし、ソーシャライズ(社交)にもなるんだから犬も大喜び。とにかく、すごいのよ~」。


大学時代にネコ(グスタフ)を飼っていた私も、ネコは大好きだし、ペットに対する愛情も分かるのだが、北米人(ミドルクラス、団塊世代)のペットへの接し方には違和感を覚えてしまう。私が平気で、「ネコに残飯をやっていた」とか「ごはんに鰹節を混ぜてあげていた」とか言うと、義父はたまげていた。ネコが「ごはん」やら「きゅうり」を食べるとか、飼い主が「残りもの」を与えているとか、そんなことは信じ難いらしい。


ネコも犬もペットを越えて、家族の一員となり、ヒト化が進む北米である。