Thursday, April 14, 2011

被害者から加害者へ-震災と原発事故

今回の震災後、私が日本人だと知っている友人・知人は、日本にいる私の家族の安否を心配して電話をくれたりメールを送ってくれたりしていた。すべてが「こんなに悲惨なことが起こってしまって日本に対して同情を感じる」というものだった。

それが、ここ数週間、微妙に変わっているような気がする。今日、エレベータで偶然会った女性は、私が日本人だと知ると、「日本で今起こっていることは信じがたい(unbelievable)。あんな原発事故は絶対にあってはならない」と言った。私を個人的に非難したわけではないことは口調からわかったが、私自身、これは身にこたえた。

実は、数日前もカフェに行って座っていた私の向こうで、男性同士が話をしていてそれが耳に聞こえてきたのだが、「日本は汚染を世界中に垂れ流している」という話をしながら「無責任な国だ」と日本政府か日本国民を批判していた。私はこれを聞きながら本当に日本人として申し訳ないという思いと、日本人としての悲しみに胸がえぐられるようだった。

震災後、トロントの日系コミュニティではそれぞれのグループがチャリティ・イベントを組織・開催して、カナダ人から莫大な寄付金を得て、それをカナダ赤十字などのチャリティ団体に寄付してきた。私も微力ながら、私の住んでいるトロント大学家族向けレジデンスでチャリティ・イベントを企画し、開催した。今でも、そういう寄付イベントを続けている団体があるようだが、私はここにきてすでにその気持ちを失っている。震災に関しては日本人は被害者であったが、原発事故に関しては放射能汚染を大気圏、海洋に撒き散らす加害者になり、立場が逆転している。被災者にとっては信じがたいだろうが、私の住むトロントをはじめ、海外に住む(海外の報道を日常的に目に、耳にしている)人たちには、日本は「同情に値する震災被害国」のイメージ以上に「放射能汚染国」とのイメージを強くしている。

先日、聞いた「無責任な国だ」という男性のコメントは私の心を暗くしている。それは、「無責任な国民だ」と言われているも同然だ。少なくとも政府は事実を隠蔽することなく正確に発表し、メディアも批判精神をもって報道にあたってほしいと切に思う。

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