Thursday, December 8, 2011

カナダの戦争捕虜に対する日本の公式謝罪


The Globe and Mail (Dec.8, 2011)

今朝(12月8日)のCBCラジオニュースのトップ・アイテムは、日本がカナダ人退役軍人で香港の戦いで捕虜になった元兵士(PoW, Prisoner of War)に対して公式謝罪を提供したというものだった。


Globe and Mail紙も、第一面にこの記事を掲載し、トップニュースとして伝えていたほか、カナダのメディアはこぞって日本の公式謝罪を重大ニュースとして報道していた。CBCニュースでは、「official apology/公式謝罪」と言われていたので、日本語によるソースをインターネットで探したのだけれど、日本のメディアがこの件をまったく取り上げていないという事実には驚いた。


1941年、1975人のカナダ人兵士が大英帝国の植民地であった香港に送られ、日本軍との熾烈な戦いを強いられた。結果、約1600人もの兵士が日本軍の捕虜となり、約3年半の間、過酷な環境のもとで炭鉱などの強制労働に従事させられ、栄養失調、病気、日常化していた虐待に苦しめられた。1945年に日本が降伏した際には、すでに250人の兵士が命を失っており、残った生存者も病気や障害をその後も引きずって生きることを余儀なくされた。


過去数十年にわたり、カナダの退役軍人会は、日本政府からの公式謝罪を要求し、ロビー活動を行ってきた。今回、カナダ連邦政府Veteran’s Affair Minister(退役軍人局大臣)が高齢の退役軍人の一団を引き連れて謝罪を要求するために日本にわたった。これを受けて、加藤敏幸外務大臣政務官が1941年の日本軍による香港侵略70周年にあたる12月7日、カナダ人PoWに対し公式謝罪を提供したという。


Globe紙が指摘しているように、近年、日本は戦争責任に対する謝罪をいくつか提供し始めていて、今年の3月にはオーストラリアのPoWに対して前原外務大臣(当時)が公式謝罪を表明している。


歴史家のMichael Boireによると、日本軍の捕虜の扱い方は歴史に例を見ないほど残虐で、たとえば第二次大戦中にドイツ軍の捕虜になった兵士のうち、95%は生き延びているのに対し、日本軍による捕虜のうち生き残ったのは50~60%のみだという。


退役軍人のなかにはこの謝罪に対し「遅すぎる」、「何の意味もない」と批判的な人、「謝罪は絶対に受け入れられない」と突っぱねる人がいる一方、カナダ連邦政府外務大臣ジョン・ベアードや他の歴史学者、専門家は公式謝罪が意味するところは大きいとし、今後の日加関係にとって重要な節目になるだろうと期待している。


各種ソースを読む限り、謝罪には金銭的補償は含まれていないようである。それに、なぜ日本の大手メディアや政府がこの重大なニュースを報じていないのか。さらに言えば、なぜ外務大臣ではなく、外務大臣財務官による謝罪なのか。そのあたりも不明な点が多く、今もって首を傾げざるをえない要素が多く、何だかどうにも引っかかるニュースである・・・。

参考)
The Globe and Mail:
http://www.theglobeandmail.com/news/politics/were-sorry-japanese-government-tells-canadian-pows/article2264086/

Montreal Gezette:
http://www.montrealgazette.com/news/Japan+apologizes+treatment+Canadian+POWs/5829793/story.html

CBC News:
http://www.cbc.ca/news/canada/nova-scotia/story/2011/12/08/ns-pow-japan-apology.html

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