Tuesday, August 3, 2010

マイナー路線の国

夫は文化人類学を研究している。彼の詳細な専門分野は何度聞いてもよくわからないのだが、医療関係が専門、フィールドは日本とのこと。そろそろフィールドリサーチのことを考えなくてはならないのだが、マスターのときにお世話になった教授と話をしていると、夫が日本をフィールドにすることに少なからず疑問を呈したらしい。彼の感じでは、日本というフィールドは文化人類学の分野では、魅力が以前に比べるとかなり廃っている。さらに、日本の学者たちは自分たちの国のなかだけで研究をしており、国際的な学会などにはあまり顔を出さない。出てきたとしても、活発な意見交換や学術的な交流もほとんど持たれない。なので、日本関連の研究はなかなかオープンな場では学術研究の対象としては難しい。さらに、将来、北米の大学や研究機関での就職を考えるとき、日本を専門にすることは不利にもなりかねない。
とまあ、この人類学の権威は、こんな感じでざっくばらんに話をしてくれたらしい。

これは1カナダ人研究者の意見に相違ないが、夫の話によれば別の機会に会って話した数人の教授がここまでストレートには言わないものの、同じような懸念を表したという。

少なくとも北米では、日本はマイナー路線になっているという感じは私も受ける。先日、日本語を教えている知人と会ってズバリ聞いてみた。「今、日本語を勉強しようとしているのは誰なの?」
彼女の答えは「オタクよ。マンガオタクとか、アニメオタク。それから、ゲームオタク。オタクが多いから、教える方法も考え直さないとね」と言っていた。

80年代、日本ブームが起きたとき、日本語学校には、ビジネスマンや弁護士といったプロフェッショナル、日本に興味をひかれるOpen mindedな若者たちだった。それが、この30年の間、大きく変化したわけである。

北米における日本のイメージが変わってきたことは確かである。こうしたイメージは、日本から輸出されるものと、受け取る側の期待感との間のバランスのうえに成り立っていて、そのなかでは、誰が、どんなイメージを恣意的に流布しようとしているか、の力関係も見てみるとおもしろい。
以前、ある文献を読み終えた夫は、「日本政府が今最も力を入れて海外に輸出しようとしている文化は、マンガやアニメだと、この論文はくくっていた」と言っていた。

日本政府がアニメを日本文化として恣意的に輸出しようとしているのは、政府の海外プロモーション出先機関である海外のJapan Foundationの図書館や展示会などを見ると明らかであるし、個人的には興味の欠片もないが、それ自体を批判しているわけではない。日本政府が各種統計やデータに基づいて、どんな人を対象に何をプロモートしたいかを検討したうえで出した結論なのだろうし。

ただ、言わせてもらえば、少なくともカナダでは、高い教育を受けた人のなかには、マンガやアニメをまじめに受け取る人は多いとは言えない。反対に、彼らのなかには日本のマンガやアニメの悪影響を指摘する人たちも多いし、アニメに付随してくるアニメベースの商業的悪癖(日本的消費文化の典型-Collectables参照)に危機感を覚える人も多い。それを知ったうえで日本政府はアニメやマンガを輸出しているのかどうかが私は知りたいだけである。

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