トロント市では、市議会議員のクリスティン・ウォン- タムが中心となり、今年秋の市議会でフカヒレの売買、所有、消費の禁止に向けて動いている。
昨今、フカヒレを禁止しようとする動きは国際的に広がっており、ハワイとグアム、マリアナ諸島ではすでに禁止されているほか、カリフォルニアやオレゴンでもフカヒレ禁止に向けた動きが活発化している。カナダでは今年5月にブラントフォード市(オンタリオ州)が北アメリカ初のフカヒレ禁止を打ち出した(なぜブラントフォードなのか、私にはとっても疑問)。
フカヒレは中国料理では最高級の食材とされており、結婚式ではフカヒレのスープはお祝いの目玉である。親は子どもの結婚式に高価なフカヒレのスープ(10人分で8万円から10万円)を出すことで、いかに深く子どもを愛しているかを表現するという。トロントのチャイナタウンでは、現在、乾燥したフカヒレが簡単に手に入る。しかし、フカヒレを獲る獲り方があまりにも残虐であるとして、国際的に批判を浴びてきた。
漁師たちは、フカヒレを獲るために、漁獲したサメのヒレ部分だけを切り落とし、あとは海に戻す。ヒレを失ったサメは泳ぐことができず、死んでしまう。統計によれば1年間に7300万頭が漁獲されるという。2007年のSharkwaterというドキュメンタリー以降、動物愛護団体から、倫理的食材を求める団体などが強くフカヒレ禁止を声に出すようになってきた。
クリスティン・ウォン- タムは中国系でトロントでは中国系カナダ人協会の元会長をしていた人。中国系市民の間でも、フカヒレ禁止をサポートする人たちも増えてきていて、この動きを私は非常に興味深く見守っている。
この件で思い出すのは、クジラ漁に対する日本と世界の対立。最近もニュース・アイテムにあったが、日本は今も非常に頑なに捕鯨にこだわっているThe Coveという和歌山のイルカ漁を批判したドキュメンタリーもあった。日本人のなかには「クジラ漁を批判するのは日本文化を批判するのと同じ」と言う人もいるが、私はそうは思わない。文化は流動的なものだし、いろいろな社会の変化によって変わるものだ。もし、多くの日本人の意識が変われば食文化にしたって変わるもの。国際政治の舞台でほとんど何も言わない日本が、クジラのことになるとあれだけ頑なになるのは、見ていて奇妙に感じる、というか「何か裏があるんだろうね」と思ってしまう。それは一体何なのかしらね?
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