今日、早朝のCBCラジオ・ニュースを聞いていると、19歳の日本人がナイアガラの滝に落ちたと報じていた。ナイアガラの滝を囲っているフェンスをつないでいる石柱の上にのぼって写真を撮っていたが、そこに立った瞬間、バランスを崩して25メートル下の滝に落下したという。警察は周辺の捜索活動を続けているが現時点では発見されておらず、死亡は確実と見られている。報道によると、この日本人女性はトロントの語学学校に通っていたというから、語学留学生だったに違いない。
Windsor Star紙が報じるところによると、ウィンザー在住のカップルが撮った写真の背景に偶然写った女性が、被害者ということである。
http://blogs.windsorstar.com/2011/08/16/city-desk/
8月17日付けトロント・スター紙は、日本人女性の名前を「トクマス・アヤノ」と報じ、Facebookからの写真をトロント・セクション1面に転載していた。
CBCのインタビューを受けて、City of Niagara Fallの市長は、「安全面に問題があったのでは」という疑念を全面的に否定し、何万人という観光客が訪れているナイアガラの滝でこうした事故が起こるのは非常に稀だとし、被害者の安全性に対する判断力の欠如を強調していた。また、その背景にあるのはFace bookなどのソーシャル・メディアやインターネットで、そうした媒体により目を引く写真を撮ろうとする傾向性についても指摘していた。要するに、自分の市政にはまったく過失はない、というインタビューだった。
Toronto Star紙は、被害者の女性が岩の上にのぼって写真を撮っているのを見て危機感を感じたが「英語が分からないようだったので何も言わなかった」という傍観者の発言を掲載していた(もちろん、この人を責めるつもりはないが、「英語が分からないようだったから」というExcuseは一体何なのだ? いくら言葉が通じなくても、危険だからやめなさい、というくらいは危機感があればするはずだと思う)。
先の市長をはじめ、この事故が単にIsolated Case(単独で起こった事故)であって、より大きな社会的問題(海外からのツーリストに対する配慮、安全面)をはらんでないという見方が今のところ大半を占めているようだが、本当にそうなのだろうか。もちろん、カナダのメディアはそれ以上は見ないだろう。ただ、トロントに暮らす日本人の私には、「日本人の危機意識の低さ」「周囲が目に入らない」傾向性についても、念のため、触れておく必要があるのではないかと思われる。
カナダ人にとって、トロントで英語を勉強している日本人の女性は非常にOff Guardに見える。地下鉄の駅でお財布から厚い紙幣の束を出して数えていたり、見知らぬ男性から話しかけられて単にニコニコ笑っていたり、あるいは図書館で大きな声で笑いながら話をしていたりする姿を見ると、私もかなり違和感を感じてしまう。危機感がない、というのはひとつだが、周囲がどうなっているのか全く気にしていない様子は、私の目には奇妙に映る。もう少し言えば、こうした「危機感のなさ」、あるいは「周囲が目に入らない」は、責任ある大人としての成熟度の欠如だという気がする。微笑を誘っているうちはよいが、それが盗難やレイプといった事件に発展する可能性は絶対に忘れてはならないと思う。
トロントに来ている日本人語学学生、ワーキングホリデーの人たちすべてがそうだとは言わない。邦人の安全性に助言を与えるべき領事館が、こうした問題に関してどう動いているのかは知らない。また、こうした問題がトロントの日系コミュニティで語られるべき優先問題であるとは、私には思われない。ただ、こういう傾向性とその結果についてはどこかで語られなくてはならないという気がしてならない。
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