夫が友人(ともにPh.D 学生)から聞いたニュースは、日本の観光庁が外国人1万人に無料で航空券を提供し、日本の観光回復を目指す、というもの。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111009-OYT1T00814.htm
正直言って、呆れたね。日本のお役所ってのは、外国向けマーケティングというとこの方法しか知らないのだ。つまり、「外国人に宣伝させる」というやつである。JET制度なんてその最たるもので、名目上は外国人に来てもらって英語を教えてもらうということだが、本当は彼らが3年の任期を終え、世界に散らばってからは日本の広告塔となってくれることを期待しているのだ。今回も、「外国人に宣伝させるのがいちばん」という思いが見え見えである。
私が違和感を感じる理由はいくつかある。そもそも、ここには「日本に来れば日本のよいところが見えるに違いない」という思い込みがある(これはアレックス・カーなどのジャパノファイルの功罪が大きいと思われるが、これは大きな問題なので稿を改めて書きたい)。また、自分の国を自ら発信しようというスキルがないし、アイデアもないし、その意欲がさらさらない。お金(航空券)だけ払って、あとは全部「外国人」にマーケティングを任せるという態度がどうも気に入らない(航空券を提供する見返りに、レポートを書いたり、今後の観光旅行プランを提案してもらうらしい)。
加えて、読売によればこの事業費予算として11億円を盛り込んだというが、震災後の後始末は始まったばかりなのに、そんなことに税金を使っている場合なのか。原発事故では、海外とまったく危機感が違っていた日本だったが、傍から見ているとこの事件は、海外における日本政府や企業およびジャーナリズムに対する不信感を煽っただけである。この政府が「安全です、来てください」と言ったところで誰が信用するものか、というのが海外にいる者の正直な感想ではないか。いまだ原発事故の危機が去らず、ジャパン・ブランドの価値も低迷し続けている今、なぜ観光なのか、さっぱり理解できない。
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